1. 会社の経営の基本方針

 当社グループでは、世の中が日々変化していく中でその時々に求められるサービスを生み出し世界中に届けていくことが、お客様がより自由に自分らしく生きられる社会を実現する上で大切なことであると考えています。ビジ ョンとして「世の中を、一歩先へ。」を掲げ、お客様にとって日々の生活を共に歩むパートナーの存在であり続け、生活をより便利に、より豊かにするサービスの提供を通じて、よりよい未来社会の実現に取り組んでいきます。

2. 目標とする経営指標

 当社グループでは、「売上高の成長率」と「営業利益率の改善度」を重要な経営指標としています。これらの経営指標を持続的に向上させることにより、企業価値の継続的向上を実現していきます。また、「総還元性向」については、中期的に35%を目安に株主還元を行う方針です。

3. 中長期的な経営戦略

 当社グループでは、コンテンツ事業から生み出す安定的な収益の一部を今後の成長性ポテンシャルが高いと見込まれるヘルスケア事業への投資に振り向け、新たに安定的な収益を生み出せる複数の分野を育成するとともに、市場規模が大きく、中長期的に成長性の高いと見込まれる事業領域に対しても投資を行っています。
 また、スマートフォン向けサービス市場が成熟する中、サービスの付加価値を高めるとともに、新たなサービス開発による事業機会の創出にも積極的に取り組み、売上高の持続的成長と継続的な利益の積み上げの実現を図っていきます。

 中長期的な経営戦略は以下のとおりです。

① コンテンツ事業における収益低減の抑制
 コンテンツ事業では有料会員数の低減傾向が続いていますが、安定的な収益の一部を今後の成長性ポテンシャルが高いと見込まれるヘルスケア事業に積極投資しているため、有料会員数の減少を抑制することとともに、成
長が見込める事業の育成に取り組んでいきます。
 セキュリティ系の有料会員数の拡大については今後の拡大余地があるため、引き続き有料会員数の拡大に注力していきます。また、コミック配信事業者向けにオリジナルコミック作品を提供する事業についても、オリジナルコミックの作品数を拡大することを通じて、その事業拡大に繋げていきます。

② ヘルスケア事業における売上成長
 ヘルスケア事業では、将来の成長ポテンシャルが大きく、医療機関(病院・調剤薬局・健診機関)や健保組合、自治体等のお客様を長期間にわたりサポートするサービスを構築することにより、コンテンツ事業に比べて安定的なストック型ビジネスになり得ることが見込まれるため、中期的に取り組んでいく方針です。
 医療・ヘルスケア領域に関わるさまざまな事業を展開していますが、それぞれの事業の収益化の早期実現に取り組むとともに、医療機関や健保組合、自治体等向けのサービスを浸透させるとともに、それらの複数の団体がそれぞれに連携できるサービスの統合を通じてエンドユーザーの利便性の高いサービスとして確立することも推進していきます。

 

4. 会社の対処すべき課題

 ITを取り巻く環境は大きな変革期を迎えており、IoTやAI(人工知能)、5G(第5世代移動通信システム)、eKYC(オンライン本人確認)等の高度なデジタル技術が社会のさまざまな領域に浸透することによりもたらされるデジタルトランスフォーメーション(DX)が始まっています。また新型コロナウイルス感染症拡大の影響により先行き不透明な状況が続いており、こうしたデジタル化のニーズが急速に高まっています。
 当社グループでは、早期にテレワーク体制へと移行し引き続き事業を展開していますが、今後も変化し続ける環境にいち早く適応しながら、付加価値あるサービスを継続的に提供できるよう取り組んでまいります。

① 開発体制の整備と情報セキュリティの強化
 クラウド・AI等を活用した高度なデジタルサービスの普及やシステム間API連携(ソフトウエア機能の共有)などの仕組みにより、異なるシステム間での複雑なデータ連携が可能になっています。そのため、個人情報等を登録している利用者が常に安心してデジタルサービスを利用するために、より盤石なセキュリティ体制を構築することが求められています。このような中、当社グループにおいても様々なデジタルサービスを提供していくうえで、継続的な開発体制の整備のみならず最新技術等の導入により情報セキュリティを強化することが重要であると認識しています。
 そのため当社グループでは、高度な専門的スキルを持った人材の確保を進め、サイバーセキュリティの脅威に対し迅速かつ正確に対処できる管理工程を設計・運用しています。また、個人情報等の取り扱いについても、eKYCやOAuth(認証・認可)等の最新技術の導入を積極的に行いよりセキュアな環境下で安心してご利用いただけるサービス環境の構築に努めています。

② マーケティング力の強化
 デジタル技術の高度化によりインターネットサービスの利用世代が広がり、お客様のニーズも常に変化し多様化しています。さらに2020年においては、新型コロナウイルス感染症に対する様々な拡大防止策が推進される中で、高度なデジタルサービスの普及やDXの浸透が急速に進みましたが、今後もこうした動きは続くものと考えています。当社グループでは、こうした急速な変化や多様化に関する情報を巨大なデータとして的確に捉え顧客のニーズを迅速に把握しサービス向上に役立てていくために、マーケティング体制の強化が重要であると認識しています。
 そのため当社グループでは、マーケティング部門の組織体制の強化を推進するとともに、テレワーク環境でも効率的に営業活動を行える業務フローの整備を行うことを通じて、当社の強みであるマーケティング力のさらなる強化を図っています。

③ 優れたユーザビリティを実現するUI/UXデザインの強化
 高度なデジタル技術の普及によって多種多様な人々の生活環境が変化していく中、高度なデジタルサービスには誰にでもわかりやすい直感的な操作性(ユーザビリティ)のあるデザインが求められるようになっています。また、5GによってМR(複合現実)・VR(仮想現実)や超高精細画像・映像等のより高度なデザインでのサービス配信も可能になっています。当社グループにおいても、高度なUI/UX(UI:ユーザーインターフェース、UX:ユーザー体験)を十分に考慮したデザインは、お客様が数多くの高度なサービスの中から当社サービスをお選びいただく際の非常に重要な一つの要素であり、今後さらにその重要度が増していくと認識しています。
 そのため、デザイン専門部署を設置し、より優れたUI/UXデザイナーの養成に努めています。今後もユーザー目線のユーザビリティを向上させることを通じて、お客様に選ばれ続けるデザインを追求していきます。

④ 迅速かつ柔軟性のある組織体制の構築と働き方改革の推進
 急速に変化する事業環境に対応しながら事業を拡大していくためには、最適な組織体制および就業環境のもと迅速な意思決定を行い、事業戦略を遂行することが重要であると認識しています。
 そのため当社グループでは、コストコントロールの改善を日々徹底すると共に、顧客のニーズやビジネス機会の変化に応じた従来の組織の枠組みに捉われない迅速かつ柔軟な組織再編を継続的に行っています。
 また従業員に対しては人材育成のみならずワークライフバランスの確立のための制度充実や、従来のオフィス環境における働き方の見直しも行っています。新型コロナウイルス感染症拡大防止策では、BCP(事業継続計画)のもと働き方改革の一環として早期にテレワークへと移行し、新しい生活様式に適した組織の構築に努めています。テレワーク環境下においても、各部門におけるパフォーマンスを最大限発揮しグループ全体の生産性効率を高めることができるよう、組織体制や業務プロセスの改善を継続的に行っています。